自由に遊べる!ずっと楽しめる!
赤ちゃんの成長を育むファースト・ブロック
色とりどりのパーツをつなげて、乗り物、建物、動物など、さまざまな形のものを作り出せるブロック。子どもの頃、夢中になって遊んだという人も多いはず。そんな楽しかった思い出を、自分の子どもにも体験させたい!と考えている保護者の方もいるのでは?
とはいえ、成長過程のどの段階で、どんなブロックを与えればよいのか……?ちょっと悩んでしまいますよね。そこで、今回は、小児神経学、発達神経学が専門の榊原洋一先生(お茶の水女子大学 名誉教授)に、ブロックが子どもの成長に果たす役割、その特長などについてうかがいました。
「遊びたい!」という行動を引き出すものが “よいおもちゃ”
「赤ちゃんは、外界に出てはじめていろんなものに出会い、さまざまな経験を通して成長していきます。人やモノなど、何かに遭遇すると、生まれながらの好奇心で、じっと見つめたり、触ったり、味わったり、ときには自ら動いたりしながら、そのモノの仕組みを体得して覚えていくのです。例えば、ボールを手にして放したら落下するとか、ハイハイして壁にぶつかったらその先には行けないとか……。ほんの些細なことでも、ひとつひとつの経験が子どもの発達を促していきます」
そして、おもちゃには、“見たい、聞きたい、触りたい“といった好奇心を刺激し、子どもの“行動を引き出す”ことで、その成長を手助けする役割が期待できるといいます。
「心理学の理論に『アフォーダンス』というものがあるのですが、簡単に説明すると、環境やモノが人に働きかけて、“〇〇をしたい”という気持ちにさせ、行動を引き出すこと。例えば、お座りしている赤ちゃんの近くに赤いボールを置くと、たいていの赤ちゃんはボールを触りに行きますよね。これは、目の前にボールを置かれたことで、赤ちゃんが“触ってみたい!”という気持ちになり、“ボールに手を伸ばす”という行動を引き起こすのです。そうして赤ちゃんは、「ボールは丸いんだな」「触ると柔らかいな」「投げると跳ねて楽しい!」などといったことを体験し学んでいきます」
特に乳幼児期には、こういった“行動を引き出す行為”がとても大切だといいます。
「子ども自身が自発的に行動し、多くの体験をすることが大切。おもちゃには、子どもを動かす魅力があります。“遊びたい!”という気持ちを刺激し、行動を引き出すものが、子どもの成長を育む“よいおもちゃ”といえるでしょう」
子どもの発達段階に見合ったおもちゃを与えよう
ブロックのように、多くの子どもに人気があり、魅力的なおもちゃでも、与えるタイミングによっては子どもの関心をひかないことも……。
「例えば、お座りができない時期にボールを与えても、転がしたり投げたりできないし、指でモノをつまむことができない時期にブロックを与えても、組み立てることはできません。つまり、いくら楽しいおもちゃでも、それを使いこなす能力が発達していなければ、“遊びたい!”という気持ちが刺激されないので、あまり意味がなくなってしまうのです」
重要なのは、子どもの発達段階に合わせて、その時期に見合ったおもちゃを選ぶこと。
「子どもは、外界と関わりを持ちながら発達していきますが、なかでも運動能力については、研究によって発達段階がおおむね明らかになっています。例えば、生後3~4か月くらいで首が座り、生後6~7か月には、支えなしでお座りができるようなるなど、多少の個人差はありますが、発達段階に目安があります。こういった運動能力の発達段階に合わせておもちゃを選ぶと効率よく成長をサポートすることができるでしょう」
乳幼児期の運動能力は、めまぐるしく変化します。まずは、下の記事を参考に、子どもがいま持っている運動能力の範囲で、遊びたくなるようなおもちゃを選んでみてください。
◆月齢別・赤ちゃんの行動を引き出すおもちゃ◆
・0~2か月の赤ちゃんの行動を引き出すおもちゃ
生れたばかりの赤ちゃんは首が座っていないので、ベッドであおむけになっていることがほとんど。この時期は、視覚がハッキリしていないので、聴覚に働きかけるやさしい音が出るおもちゃがおすすめです。生後1~2か月くらいになると少しずつ視力も発達するので、目の前でゆっくりガラガラを揺らしてあげたり、ベッドメリーを設置してマスコットがくるくる動く様子を見せてあげたりしましょう。
・3~5か月の赤ちゃんの行動を引き出すおもちゃ
首が座って、寝返りが打てるようになる頃。手先が発達してモノに手を伸ばしたり、つかめるようになったりするので、さわって楽しめるおもちゃを与えてみましょう。例えば、ガラガラを握らせてもいいし、押すと音が出るような小さなぬいぐるみなどもおすすめです。また、手にしたものを口に入れてなめるようになるので、素材やサイズなど、安全なものをチョイスして。
・6~7か月の赤ちゃんの行動を引き出すおもちゃ
生後6~7カ月くらいになると、保護者の支えがなくてもお座りができるようになります。こうなれば、遊びの幅はグンと広がるはず。両手で握って振ったりできるようになるので、ボール遊びや手転がしおもちゃなども楽しめるように。視覚もハッキリしてくるので、光ったり、音が鳴ったり、ぶるぶる震えたりと五感を刺激するようなおもちゃで遊んでみましょう。
・8~11か月の赤ちゃんの行動を引き出すおもちゃ
ハイハイからつかまり立ち、つたい歩きができるようになり、行動範囲が広がります。親指を使ってモノをつまむことができるようにもなるので、手押し車やひっぱり遊びができるおもちゃなどがおすすめ。それらは押すと仕掛けが動いたり、ひっぱると音がしたりして好奇心をくすぐります。また、この頃は呼びかけに反応するなどして保護者とのコミュニケーションも増えてくるので、積極的にほめてあげることも忘れずに。
・1~1.5歳の赤ちゃんの行動を引き出すおもちゃ
指先が器用になり、両手でつかむ、たたく、ボタンを押すといった、より複雑な作業ができるようになるのが1歳の頃。積み重ねたり、それを崩したりできるつみ木や押すと音が出る楽器系のおもちゃなどに興味が向きます。また、1.5歳くらいになるとブロックを使った『みたて遊び』にも夢中になるはず。複雑な形はまだつくれなくても、ブロックを車や花など身近にあるものに見立てて遊ぶことで創造力が育まれていきます。
月齢 | おすすめおもちゃ | 例 |
0~2か月 | やさしい音が出るおもちゃ | ガラガラ、ベッドメリー |
3~5か月 | さわって楽しめるおもちゃ | ガラガラ、押すと音が出るぬいぐるみ |
6~7か月 | 五感を刺激するようなおもちゃ | ボール、手転がしおもちゃ |
8~11か月 | 指先を使うようなおもちゃ | 手押し車、ひっぱり遊びができるおもちゃ |
1~1.5歳 | より指先を使うようなおもちゃ | つみ木、楽器系のおもちゃ、ブロック |
ブロックは1歳半から! 自主性に任せて遊ばせよう
前述のとおり、子どもは1.5歳くらいになると、手先が一段と器用になって、積み木などを乗り物に見立てて動かす、といった“みたて遊び”をするようになります。はじめて触れるブロック=ファースト・ブロックを与えるなら、この時期がねらいめ。幼い子どもはブロック遊びを通して、さまざまなことを学び、吸収していきます。
「遊びの本質は、子どもが自由に楽しめることです。ブロックは、自分が頭の中でイメージしたものを、パーツを組み合わせることで形にしていく遊び。「最終的にこういうものを作らなきゃいけない!」という“完成形”がないので、とても自由度が高く、作れるものは多岐にわたります。子どもはブロックを通していろいろな遊び方を探索し、何度も繰り返しては工夫し、失敗しては乗り越えるという経験を重ねることで独創性や創造力、探求心を養っていくのです」
もし、ブロックを与えて、うまく組み立てられなかったり、思うように形にできなかったりしても焦る必要はありません。前述した『アフォーダンス』理論のとおり、ブロックに興味を示し、手に取ってくれただけで、すでに発達のサポートになっているからです。
「ブロックに限りませんが、子どもが遊んでいるときは、自由にさせておくことが大切です。大人が見本を示して、「この通りに作りなさい」なんて強制してしまうと、楽しさが奪われてしまい、その遊びから興味を失ってしまう可能性もあります。ある程度、子どもの自主性にまかせ、思う存分、楽しませてあげましょう」
早くて1歳半から遊べるブロックですが、3歳未満の幼い子どもにブロックを与えるときは、下のポイントに気をつけて選びましょう。
◆ファースト・ブロックのポイント◆
・サイズは大きめを
幼い子供はブロックを口に入れ、誤飲してしまう
危険があるので、大きめサイズのブロックを! パッケージに表示されている対象年齢を守って選ぶようにしましょう。小さなパーツが入っている場合は、保護者が取り除くようにして。
・やわらか素材で
素材が硬く、角が尖っていたりすると、踏んだ時にけがをする可能性も。また、ブロックをかみ合わせたときに、硬くて取り外しにくいこともあります。できるだけやわらかい素材で角が丸いものを選びましょう。
自由度満点! 安心安全なファースト・ブロックはコレ!
『Gakkenニューブロック』は、1.5歳から長く遊べるブロック。上に積んでいくだけのブロックが多い中、独自の「井」型の形状で、縦にも横にも斜めにもつなげられるという特長が。そのため、ほかのブロックではできない自由度の高い作品が作れます。子どもの独創性や創造力を伸ばすお手伝いに!
◆ニューブロックの特長◆
- ❶「井」型の形状で、縦にも横にもつなげられるので自由度が満点!
- ❷子どもの手にちょうどいい大きめサイズのブロック
- ❸やわらかいプラスチック製で、空気で膨らませているので踏んでも痛くない
- ➍角が丸くなっているので、触っても痛くない。
- ❺かみ合わせがきつすぎないので、小さな子どもでも簡単に扱える
5,500円(税込み)
お片付けの習慣が身につくケース入り。発達を促す指先を使う遊びを中心に「見立て遊び」「色合わせ」など、成長に合わせて長く遊べるセットです。ケースのフタ部分にブロックをさして遊ぶことができます。
3,850円(税込み)
組んで「こわす」遊びなど発達を促す指先遊びに加え、「ごっこ遊び」「色・名前を覚える遊び」など、多様な遊び方ができるバッグ。ニューブロックの基本の形をメインに、目玉やタイヤ、動物など創造力を刺激するパーツもたくさん!
監修者プロフィール
榊原 洋一 先生
お茶の水女子大学 名誉教授
1951年東京都生まれ。東京大学医学部卒業。お茶の水女子大学大学院教授、理事・副学長などを経て、現職。医学博士・小児科医。現在は、発達障害の臨床的研究、発達障害児の保育、子どもの生育環境とその発達への影響、国際医療協力を主な研究対象としている。専門は、小児神経学、発達神経学などで、「子どもの心と体の発達」に関する著書を数多く執筆し、それらは高い評価を受けている。「発達障害のある子のサポートブック」(学研)など著書多数。