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学力向上にもつながるってホント?
小学校入学前に身につけたい『運筆力』

学力向上にもつながるってホント?  小学校入学前に身につけたい『運筆力』

鉛筆で文字を書く練習をする前に身につけておきたいのが『運筆力』。運筆力がつくと、文字がキレイに書けるようになるだけでなく、学力向上にもつながると言われています。そこで、学研の幼児教室でカリキュラムコンテンツ開発に携わっている青栁菜央さん(株式会社Gakken)に、運筆力が高まることで得られるメリットや運筆力をアップする練習法などをうかがいました。

文字をキレイに書く力=運筆力が、学習能力を左右する!

キレイな文字を書くために欠かせないという『運筆力』。一体どんな力なのでしょうか?

 

運筆力とは、鉛筆などの筆記具を自由自在に操る力のこと。運筆力を高めるためには、手指を器用に動かして、鉛筆を思いのままに運んだり、筆圧を上手にコントロールする力を養ったりすることが大切です。

幼い子どもは、文字を書くときに鉛筆をどう動かしたらよいのか、どれくらいの力加減で書けばよいのか、よく分かっていません。しかも近年は、生活様式が進化したことで、子どもたちの握力が低下し、筆圧が弱くなっていますひねって開けていた水道の蛇口やドアノブが、レバー式や自動センサーになったり……、生活が便利になったことで、手指を使う機会が減ったことが影響していると考えられます。小学校で推奨される鉛筆が、これまで主流だったHBではなく、弱い筆圧でも色濃く書ける2BやBに変更されるケースが増えていることもその証でしょう」

 

筆圧が弱いと、HBの鉛筆を使ったときに、色が薄くて書いた文字が見えにくい状況になります。せっかく書いたのにその成果がきちんと見えないので、文字を書く意欲が落ちてしまい、学力が低下しやすいとも言われています。

 

「反対に、筆圧が調整できるようになって運筆力がアップすると、文字がしっかり見えるだけでなく、文字を書くときに大切な“止め”、“跳ね”、“払い”がきちんとできるようになり、思い描いた通りの文字が書けるようになります。キレイな文字が書けるようになると、それが自信につながり、書くことがますます楽しくなるので、やる気もアップ。結果的に勉強が苦にならなくなるので、学力向上につながるのです」

なぐり書きをしはじめときが運筆トレーニングのチャンス!

子どもがマーカーやクレヨンなどを使って描くことに興味を示し出したら、運筆の練習をはじめる絶好のチャンス!

 

「子どもは1歳半から2歳くらいになると自我が芽生えはじめ、何でも自分でやってみたくなります。この頃になると、クレヨンなどを持ってぐちゃぐちゃとなぐり書きをするようになりますが、実はこれが運筆力アップの第一歩。運筆の練習をはじめるには、ちょうどよいタイミングです。練習と言うと大げさですが、遊んでいるうちに楽しく身につけていくようなイメージ。無理やり描かせるのではなく、自分から描きたいという気持ちにさせることが大切です。マーカーやクレヨンなどの太めの筆記具と、大きめの紙を子どもの近くにさりげなく置いてみて、興味を示せば好きなだけ自由に描かせてみましょう」

 

もし、描くことになかなか興味を示さなくても、焦る必要はありません。運筆力は小学校入学前までにある程度身につけておけばよいので、気長に見守りましょう。

さらに、運筆力の練習は、一時的なものではなく、習慣化することが大事だと言います。

 

「運筆力は練習の積み重ねによって身につくものなので、遊び感覚で行って習慣化させましょう。楽しく続けていく中でマーカーやクレヨンに慣れてきたら、次は芯のやわらかい6Bや4Bの鉛筆に移行して、筆記具も少しずつステップアップしていくとよいと思います。手が小さな幼児でも持ち方が安定する三角鉛筆などもあるので、そういうものからはじめるのもおすすめですね」

1歳半くらいからはじまるなぐり書きは、運筆力アップのファーストステップ!ただクレヨンを紙にこすりつけているだけのようにも見えますが、実は筆記具を握って手、腕、肩を動かす練習になっています。楽しく自由に描く中で自然と運筆力が高まります。

運筆力がグンと伸びる! おすすめの練習法

大きな紙に自由にお絵かきすることでも運筆力は高まりますが、最近では、運筆の練習用ドリルがたくさん市販されているので、上手に活用するのも効果的。

 

「1歳半くらいのなぐり書きを行う時期は、画用紙などにとにかく自由に描いて遊ばせればOK。2歳くらいからは市販のドリルなどを利用してもよいでしょう。無理やりさせると苦手意識を持たせることにもなり兼ねないので、遊び感覚で取り組める楽しそうなものを選んでみてください。最初は、直線を描くことからはじめ、だんだんと斜線、曲線、波線などを経て、点つなぎや迷路遊びとステップアップしていきましょう。

気をつけたいのは、年齢や発達段階に合ったものを選ぶこと。例えば、3歳児レベルの迷路と5歳児レベルの迷路では難易度が大きく異なります。発達段階に見合ったものでないと、達成感が得られず、やる気も削がれてしまうので、保護者の配慮が必要でしょう。発達には個人差があるので、できなくても焦らず、なにより子どもが楽しみながら取り組んでいることを重視しましょう」

 

練習用ドリルに子どもがまったく興味を示さないときはどうしたらよいのでしょうか?

 

「昨日まで興味がなかったのに、今日になって急にやる気を出すこともあるので、とにかく無理強いはせず、気長に見守りましょう。興味を持ってチャレンジするようになったら、「かっこよく描けたね!」などとほめてあげてください」

 

また、幼い子どもの場合、お絵描きや迷路などをしていると用紙や枠からはみ出してしまうことも。

 

「3歳くらいまでは、はみ出すのは当たり前です。それよりも、描けたことに対して「よくできたね!すごいね!」とほめて認めてあげましょう。ただ、4~5歳くらいになると決められた枠内に収めることも大切です。そんなときは「この白いところがなくなるように塗ったほうがもっと素敵になるよ!」というように、肯定的な言葉がけを行うと、子どものやる気を引き出せます。大人が当たり前と思っていることが子どもにとっては当たり前じゃないということを心に留めておきましょう」

 

運筆力をアップする練習法

遊び感覚で運筆力を育める練習法を紹介! 年齢別ステップアップ(下記)を参考にしながら年齢や発達段階に合わせて子どもに合うものを取り入れてみましょう。

 

 

●なぐり書き

紙に点を打ったり、ぐちゃぐちゃと線を描いたり。ダイナミックな動作は腕を大きく動かす練習になります。

 

●お絵描き

線を描けるようになったら、次は自由にお絵描き。塗りつぶすときに濃さを調節することが筆圧コントロールの練習に。

 

●なぞり書き

ガイドの上からなぞってシンプルな線や複雑な図形、文字などを書きます。発達段階に見合ったものを選んで。

 

●迷路

スタートからゴールまで線を書くことで、思考力や空間認知能力が育まれ、枠からはみ出さない練習にもなります。

 

●点つなぎ

点と点を線で結ぶ点つなぎ。始点と終点の意識が文字を書くときの“止め”、“跳ね”、“払い”の練習になります。

 

 

年齢別 運筆力を高めるステップアップ

運筆力を高める練習と言っても、発達の段階によって幼児が行えることは少しずつ変わってきます。以下はあくまでも目安ですが、ステップアップの参考にしてみてください。

 

●1歳半~ 


クレヨンなどを紙にたたきつけて点を打ったり、手を左右に動かしてなぐり描きをしたりするのがこの時期。筆記具の持ち方はまだ気にしなくてよいので、「描くことが楽しい!」と思ってもらえるように伸び伸びと自由に描かせてあげましょう。筆記具は太めの持ちやすいものがおすすめです。

 

●2歳~


クレヨンなどをしっかり握って動かせるようになります。もし鉛筆にも興味を示したら、太めの握りやすい三角鉛筆を持たせてあげましょう。この時期は縦線や横線を描けるようになり、線で雨を表現したり、2歳後半にもなると斜線や波線、ぐるぐる描きをしたりなど、できることがさらに増えていきます。

 

●3歳~


3歳になると迷路遊びや言葉、形に興味を持ちはじめ、閉じた丸が描けるようになります。手先が器用になる時期でもあるので、興味を示せば鉛筆を3本指で持たせてみるのもよいでしょう。何かを伝えたいという気持ちが芽生えるので、絵のお手紙を渡す子どももみられます。

 

●4歳~


4歳児は、三角や四角などの簡単な図形が描けるようになります。3歳~4歳になると、文字のなぞり書きができるようになるので、少しずつひらがなの読み書きの練習をはじめてみるのも◎。始点と終点を意識して行う点つなぎもこの時期におすすめ。文字を書く力を育む効果もあります。

運筆力の練習におすすめ!『さんかくえんぴつ』

マーカーやクレヨンに慣れてきたら、次は鉛筆にステップアップを。幼児がはじめて使う鉛筆としておすすめなのが、「学研のさんかくえんぴつ」です。三角の太軸だから小さな手でも握りやすく、クレヨンなどの太い筆記具からの移行期に最適! 芯の濃さは、対象年齢に合わせて6B、4B、2Bと3種類から選べ、運筆の練習をはじめてまもない2歳児でも、濃く滑らかに書けるのでモチベーションもアップするはず! たくさん運筆の練習をして短くなったら、同シリーズの「2軸えんぴつホルダー」に挿すと再び持ちやすくなり、最後まで大切に使えます。子どもの成長に合わせて持ちやすい鉛筆を選びましょう。

 

学研のさんかくえんぴつ 6B 6本セット

495円(税込み)

柔らかく濃い6B芯は、筆圧が弱い幼児でも濃く滑らかに書けるので、はじめての鉛筆におすすめ。太めの軸(8.8mm)だから、クレヨンやマーカーからの移行期に最適です。長さは13cmと一般的な鉛筆より短く、小さな子どもでも持ちやすくなっています。[年齢の目安:2・3・4歳~]

 

学研のさんかくえんぴつ 4B 6本セット

495円(税別)

長さ15.5 cmと市販の鉛筆に比べて2cmほど短くなっているのが特徴。3~4歳の子どもの手に合う長さになっています。また、芯の濃さが4Bと、しっかりとした濃さで書けるので、文字や数字を書く練習にも最適。鉛筆で書くことに慣れてきた幼児におすすめです。[年齢の目安:3・4・5歳~]

 

学研のさんかくえんぴつ 2B 6本セット

495円(税別)

芯の濃さは、小学校の入学時に用意する2Bを採用。長さも一般的な鉛筆と同じ17.7cmなので、入学準備にはもちろん、入学後も長く使い続けられる鉛筆です。大人用の鉛筆よりも軸が太めになっているので、子どもでもしっかり握れるところが特長。[年齢の目安:4・5・6歳~]

 

 

学研のさんかくえんぴつ 2軸えんぴつホルダー

253円(税込み)

1本で太さの違う鉛筆に使える延長軸。片側の穴は三角型で太軸の三角鉛筆専用。反対側は丸型で一般的な直径約8㎜の鉛筆に挿して使えます。短くなった鉛筆もホルダーに挿すと再び持ちやすくなり、大切に長く使用できます。

監修者プロフィール

青栁菜央さん
株式会社Gakken
出版・コンテンツ事業本部 U5事業部 幼児教材編集課 教室教材チーム

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