Gakken 学研ステイフル

年齢別/発達段階別一覧表付き
うちの子にぴったりな知育玩具の選び方

知育玩具は子どもの成長をサポートしてくれるアイテムとして広く知られています。ただ、どんなタイミングでどんな知育玩具を与えればいいのか見当がつかない保護者の方も多いと思います。

そこで、保育関連や心理学系統が専門の無藤隆先生(白梅学園大学 名誉教授)に、知育玩具の重要性を解説してもらうとともに、年齢別/発達段階別の知育玩具の選び方を教えてもらいました。

知育玩具の選び方でおさえおくべきポイント

① 成長過程における子どもの発達の特長を正しく知る
② 子どもの発達段階に適した知育玩具を選択する
③ 子どもの遊びを観察して、適切なタイミングで最適な知育玩具を選ぶ

知育玩具のよさは実際に物を触りながら動かすこと

知育玩具は手で触って動かすのが特徴

知育玩具は手で触って動かすのが特徴

「知育玩具のよさは、実際に物を触ったり動かしたりして操作できることです。スマートフォンの知育アプリにも優れたものはありますが、小学校就学前の幼児にはあまりオススメできません。幼児期の子どもにとっては、リアルに体感できる物であることが非常に大きな意味があると思います」と無藤先生は言います。

 

今の時代、知育を目的としたアイテムは世の中にあふれ、知育玩具だけでなく、知育アプリや知育ドリルなど数多く存在します。その中で知育玩具がもたらす子どもへの効果とは。

 

「スマホを使った知育アプリでも、ただビデオのように見るだけのものではなく、子どもが実際に何かを動かしたり、操作したりするといったものであれば意味があります。ただ、知育玩具と比較して“思考力を育む”という観点でいうとやはりオススメではないと言わざるをえないです。今の世の中は何でも電子化されていますよね。たとえば、ボタンを押すと何かが出てくる、それだけを理解しても物事の仕組みまではわかりません。『何だか知らないけど、なぜかこうなる』ということでは思考力の発達にはつながらないのです」

知育玩具を通して子どもは物事の仕組みがわかる

物事の仕組みがわかる例として、無藤先生が引き合いに出したのは自動販売機です。

 

「自動販売機はお金を入れてボタンを押すとジュースが出てきますが、ときどきドリンクを補充する人が来て、カギを開けてジュースを中に入れますよね。あの様子を見ると、4~5歳の子どもはビックリします。普段は表面的に見えている物事に、裏側があることに気づくわけです。そこに『なぜ?』が生まれます。『なぜ?』と表現すると話がやや複雑になりますが、要するにお金を入れてボタンを押すことと、出てきたジュースの缶を持つことの間をどのように埋めていくかということ。その裏側の部分を知ることが物事の仕組みに気づくということです」

 

物事に仕組みがあることに気づき始めるのは、だいたい3歳くらいです。そして4歳になると「こうなっているんじゃないか?」と自分なりに納得できる理由を考えるようになり、5歳になると物事をさらに客観的にとらえるようになっていきます。

 

「こういった仕組みを学ぶのに知育玩具は最適です。ただ、3歳と5歳ではかなり顕著な発達の差がありますから、知育玩具も年齢をひとつの目安に発達別に様々な種類のものが存在します」

知育玩具選びの前に成長過程における発達の特徴を知ろう

「Disney Tinker Kids木製タングラムつみき」積木遊びとタングラムの基礎がセット。木製なので小さな子どもも安心して遊べる

3歳くらいから物事の仕組みに気づき始めるとお伝えしましたが、最近の研究では0歳でも1歳でも2歳でも、気づきの“芽”があることがわかっています。それがはっきりと表われてくるのが、だいたい3歳前後ということです。

 

このように、子どもの成長には年齢を軸とした発達の特徴があります。知育玩具を選ぶためには、その成長過程を知る必要があります。年齢ごとにどんな発達の特徴があるのか、無藤先生に解説してもらいました。

 

「子どもは1歳代くらいから物を積んだり、組み立てたり、出し入れしたりすることができるようになります。そして2歳くらいになると言葉がかなり出てきて、簡単な言葉のやりとりができるようになります。そうすると予測する力が出てきて、いろんな物を見立てる力もついてきます。」

言葉や数へ興味を持ち始める年齢の目安

ここからは3歳以降の発達段階についてみていきましょう。

 

「そして3歳になると、数への興味も少しずつ出てきます。最初は3までの数をかぞえ始め、そこから5まで、10までと、だんだん増えていきます。10を越えてくるのはだいたい4~5歳で、5~6歳になると20を越えていきます。20まで行くと、あとは基本的に繰り返しですから、数の基本ができてきます」

 

また、子どもは数への興味が出てくるよりも前に、言葉への興味が出てきます。言葉の基本は2歳から5歳くらいまでの間に育まれていきます。

 

「早い子は1歳代の後半、遅い子でも2歳代の前半に語彙がどんどん増えてきます。3歳になると、考えたことを言葉で表現できるようになり、文として組み立てるようになっていきます。4歳は言葉というものの面白さに気づき、5歳になると話し言葉がかなりしっかりとしてきます」

 

数と言葉の発達については別の記事で詳しく紹介しますので、そちらをご参照ください。

発達段階に合った知育玩具の選び方

「Disney Tinker kidsくるくるちえパズル」子どもに合った知育玩具を選ぶには子どもを観察することが大事

ここまで各年齢の一般的な成長過程をご説明しましたが、これは必ずしもすべての子どもに当てはまるものではないと無藤先生は補足します。

 

「こういう話をするときは、『3歳の発達段階であれば、3歳のだいたい5~6割の子に当てはまります』とお伝えします。そうすると、4割くらいの子はズレるわけです。上にズレる子が2割、下にズレる子が2割です。半年くらいのズレは当然出てきます」

 

したがって、自分の子どもが一般的な発達より進んでいたり遅れていたりしても、一喜一憂する必要はまったくないそうです。

 

「また、子どもの性格や気質によっても成長過程に違いがでてきます。たとえば、外遊びで体を動かすのが好きな子と、室内で静かに座って遊ぶのが好きな子は違います。それから、ごっこ遊びは誰でもやりますが、物語をどんどん展開させるような子もいれば、ヒーローの格好をマネするのは好きだけど物語を作るのはそれほど好まない子もいます。そのあたりは知的発達とは少し違って、割と生まれつきに近い個人の性格によりますね」

 

つまり、発達差と個人差の両方があるので、同じ3歳でもどんな知育玩具が合っているのかは一概に決められないと言います。

 

「知育玩具は子どもにとって難しすぎる、また反対に簡単すぎるものを与えないように気をつけましょう。難しすぎると子どもはその知育玩具に対して拒否感を持ってしまいますし、簡単すぎるとすぐに遊ばなくなってしまいます。知育玩具は子どもの成長にあわせて、そこは親が丁寧に選んであげたほうがよいと思います」と無藤先生は忠告します。

 

ただ、多くの知育玩具は「2歳~5歳」あるいは「3歳~6歳」など、かなり広めに対象年齢が記されていますので、それほど難しく考える必要はないとつけ加えます。

 

年齢や発達段階に沿ったサポートをしてくれる知育玩具の選び方のポイントを記載した一覧表を文末に掲載しておりますので、ぜひ参考にしてください。

 

「最初は親が一緒に楽しんであげると、子どもはスムーズに知育玩具の世界に入っていきます。まずは一つ買い与えてみて、子どもの様子を見ながら別の知育玩具に移行していけば、遊びのバリエーションが広がります」

 

子どもの遊びを観察し、興味・関心を把握することができれば、適切なタイミングで適切な知育玩具を選べる可能性が高まります。そう考えると、子どもに合った知育玩具を選ぶという行為自体が、子どもの成長をサポートすることにつながりそうです。

年齢別/発達別一覧表

年齢 子どもの発達(からだ) 子どもの発達(あたま) 子どもの発達(こころ) 成長させたい項目 おすすめの知育玩具
2歳 手先が器用になる 「なんで?」という言葉が出始める
3までの数をかぞえ始める
自我が拡大する「じぶんで!」の時期 見立てる力をつける Gakkenニューブロック
Disney Tinker Kids くまのプーさんボトル
3歳 日常的な動きを獲得する 文字や形への興味が出てくる
5までの数をかぞえる
考えたことを言葉で表現できるようになる 形への興味を引き出す Disney Tinker Kids わくわくちえキューブ
4歳 二つの動きが同時にできるようになる 文字を読み始める
10までの数をかぞえる
自制心が形成される 文字や言葉への関心を高める Disney Tinker Kids びっくりパーツであいうえお
5歳 より洗練された動きを獲得する ひらがなを書こうとする
20以下の数をかぞえる
ルールを自発的に守るようになる 数の概念を体感させる Disney Tinker Kids かずのきほん バランスシーソー
6歳 複雑な動きができるようになる 理屈を根拠とした説明が可能になる
数を分けたり合わせたりすることに興味を持つ
社会的ルールの理解が深まる 時計の読み方を覚える Disney Tinker Kidsくるくるとけい

 

© Disney
© Disney. Based on the “Winnie the Pooh” works by A.A. Milne and E.H. Shepard.
© Disney/Pixar

監修者プロフィール

無藤 隆 先生
白梅学園大学 名誉教授

東京大学大学院教育学研究科修了。お茶の水女子大学生活科学部教授などを経て、2004年、白梅学園短期大学学長に就任、翌年より2007年まで同大学学長を務める。2017年より現職。教育学のなかでも保育関連や心理学系統を専門とし、保育・幼児教育に関する政府審議会・調査研究会などの座長として公的活動にも尽力する。

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